- ケーススタディ
革新的なQdos CWT化学計量ポンプが保守の必要性を軽減し、ポンプヘッドは8,000時間の運転後にまだ高性能を実現
- 塩化第二鉄硫酸塩の確実な注入で厳格な環境排出限度を満たしました
ドイツのWatson-Marlow Fluid Technology Solutions(WMFTS)の産業セールスエンジニアであるThomas Klobuczynski氏によると、ドイツの廃水処理工場で薬液注入機器が更新され、リンの除去性能が高まりました。
ドイツのヘッシシュ・リヒテナウの町にサービスを提供する廃水処理工場(WWTP)は、リン除去用途の薬液注入で革新的なアプローチを取っています。当初はリン酸塩の除去を目的とした塩化第二鉄の注入に使用されていたダイアフラムポンプ2台が、ドイツとしては初めてWMFTSのQdos CWTペリスタルティックポンプ1台に交換されます。
フュルステンハーゲン廃水処理工場は、ヘッセン州ヴェラ=マイスナー地域の人口18万5,000人相当にサービスを提供しています。
主な廃水処理システムは、グリルおよびサンドトラップ付きの機械式の前清浄システムと、上流の脱窒および下流の硝化を行う曝気槽と、再循環を含みます。2つの二次的な浄化池と1つのスラッジ処理装置があります。
鉄の注入
沈殿剤である塩化第二鉄硫酸塩(FeClSO4)の薬液注入が、一貫したリン削減のために生物処理段階で必要とされます。これは工場の入口においてリン装填量がかなり変動するためです。環境規則により、処理済み廃水のロッセ川への排出は1リットル当たり0.70ミリグラム(mg/L)の全リン(年間平均0.50mg/Lの全リンと0.20mg/L(オルトリン酸塩))に厳しく制限されています。
沈殿物を吐出するために1箇所注入が用いられ、化学計量ポンプが25m3の貯蔵槽から塩化第二鉄を引き出します。それが30メートル離れた注入箇所まで移送されます。
作業者によると、1日24時間、1週間に7日間一貫した注入が実施されることが重要ですが、この作業を交互に行う2台の旧式ダイアフラムポンプは信頼できず、頻繁な点検整備が必要でした。
廃水オペレーションマネージャーのMarco Quehl氏は、「一定した基本量の沈殿剤を注入し、その量を入口のリンの量に沿って自動的に増加する必要があった」と述べています。
「新しいQdos CWT技術は、我々の工場の沈殿剤注入に関してはまさに最高です。他の誰かに別のソリューションを持ってきてもらう必要はありません」
腐食の課題
Quehl氏によると、ダイアフラムポンプの最大の問題は、腐食性の塩化第二鉄硫酸塩がポンプバルブ上に鉄の残留物を残すため、バルブシートとの密封が不十分となり、わずかな液漏れが絶えず見られることでした。
Quehl氏は次のように説明しています。「このため、軽度の保守作業が頻繁に必要となります。平均で約12か月にわたって2台のダイアフラムポンプを交互に運転した後、ポンプヘッドかポンプ全体をも交換する必要がありました。必要なクリーニング作業も考慮すると、長期的には時間とお金がかかるということがわかりました」
ほとんどの薬液注入ポンプは機能し続けるために定期保守を必要とします。この間、ポンプは数時間使用できなくなり、プロセスを継続するために補助的なポンプが必要となる場合が多くなります。また、最低1人の熟練技術者がサイトで監視する必要があります。
時間の節約
Watson-MarlowのQdosシリーズの全ポンプヘッドは分解する必要がありません。代わりに、ポンプヘッドを単体として取り外し、そこに新品を嵌め込むだけです。作業者1人でも1分以内で作業が終了し、保守スタッフが化学物質と接触しないため、時間の節約と設備の安全衛生に関して大きなメリットとなります。
「塩化第二鉄や他の化学物質の注入にWatson-Marlow Qdosチューブポンプを使用して上手くいった経験があったので、自分たちの拠点でCWTポンプを試すことに同意しました」とQuehl氏は説明します。
新しいQdos CWTは世界初のチューブなしペリスタルティックポンプであり、ペリスタルティックポンプ構造において画期的な開発です。このポンプの最初の実地試験は長期試験期間の一部としてフュルステンハーゲンWWTPで実施しました。
応力低下
従来のチューブは塑性変形で平らに圧縮されますが、Qdos CWTポンプヘッドは、PEEKトラックに対して弾性的に圧縮されるEPDMエレメントを組み込みます。このため、材質の応力と疲労が低下し、寿命が大きく延長し、保守と工場の混乱が減少します。
このポンプは自吸式であり、ポンプの運転時以外でも流体の逆流がありません。ガスの滞留も防止されるので、中断のリスクはなく、圧力維持バルブ、空気放出バルブまたは保持バルブのような追加機器は不要です。
オペレーションマネージャーのBernd Sennhenn氏は次のように述べています。「Qdos CWTは12か月前に設置されて以来、問題なく機能しています。このポンプをダイアフラムポンプの直接の代用品として設置することができました」
Quehl氏はフュルステンハーゲンWWTPでのトライアルを振り返り、次のように語っています。「Qdos CWTは8,000時間以上運転されており、合計でほぼ9万リットルの沈殿剤を注入しましたが、保守を必要としていません。
ダイアフラムポンプと比較すると、Qdos CWTの方が均等に注入し、脈動が少ないです。そのため、配管とコネクタが保護されます。脈動ダンパーは不要です」
連続運転
注入ポンプの更新で工場は時間的にも費用的にもかなり節約できました。Qdos CWTは平均として最大能力の75%で運転されており、高性能域で能力と信頼性を発揮しています。
Qdos CWTの信頼性はこの技術の設計にあります。接液要素が受ける応力は低く、第2の計量ポンプはフュルステンハーゲンでは運転を確保するために予備にしていますが、実際には全く必要となりません。
Qdos CWTポンプヘッドの全体的な信頼性と機能性により、フュルステンハーゲン工場はこの1年でリン装填量を97.5%削減しました。
「新しいQdos CWT技術は、我々の工場の沈殿剤注入に関してはまさに最高です。他の誰かに別のソリューションを持ってきてもらう必要はありません」と、Quehl氏は締めくくりました。